兼続および上杉家関係の書物を集めてみました。

■史論・研究書など


正伝直江兼続 渡邉省三 恒文社


書名 筆者 出版社
正伝直江兼続 渡邉省三 恒文社
上杉謙信大辞典 花ヶ前盛明編 新人物往来社
定本上杉謙信 池享・矢田俊文編 高志書院
直江兼続伝 渡部恵吉・小野栄・遠藤綺一郎共著 米沢信用金庫叢書3
上杉景勝伝 小野榮著 米沢信用金庫叢書4
直江兼続のすべて 花ヶ前盛明編 新人物往来社
上杉景勝のすべて 花ヶ前盛明編 新人物往来社
上杉氏年表 池亨・矢田俊文 高志書院
直江山城守 福本日南


■小説・エッセイ

  《兼続を読む》

書名 著者 登場人物 コメント
謀将直江兼続 南原幹雄 兼続
本多政重など
あくまで家康に立ち向かおうとする、まさに「謀将」としての兼続を描く。こんな一面もあるいはあったのかも、ということを思わせるような小説。
直江兼続参上 南原幹雄 兼続&兼続の影武者 関ヶ原前夜、上方での三成挙兵の知らせを受けた家康は上杉征伐をやめ、上方に進撃を開始する。兼続は家康の後を追うことを進言するが、主君景勝は許さない。だが、どうしても家康をしとめようとする兼続のとった行動は・・・。
『謀将直江兼続』とあわせて読むことをオススメします。
『城取りの家』収録
密謀 藤沢周平 兼続
石田三成
兼続配下の"草"(忍び)など
兼続配下の草(忍び)にスポットをあて、表の世界だけではない、政治の駆け引きの裏側の死闘も描いており、エンターテイメント性が高い。
本多政重を思わせるような人物を登場させ、物語に深みをもたせている。
直江兼続
家康に対峙した戦国の宰相
上田史談会・文
樋口峰夫・画
兼続他 絵本です。子供向け(対象年齢:小学校高学年〜中学生)ということで、絵と文章で兼続の生涯が簡潔にわかりやすく描かれています。
直江兼続〜北の王国〜 童門冬二 兼続
おせん夫人など
常に前を向いて生きようとする兼続が印象的。お船夫人とのやりとりが心を和ませてくれる。
安吾史譚 坂口安吾 〔エッセイ〕 いろいろな歴史上の人物を取り上げ、筆者の思いを綴った作品。兼続のことは「直江山城守」として取り上げている。少々大げさな箇所がないでもないが、兼続を評して「光風霽月」「なつかしい武人」と表現しているところに共感できた。
兼続のほかに、「柿本人麻呂」「小西行長」「天草四郎」など所収。

雲の絶間さまに紹介していただきました。
直江兼続 江宮隆之 兼続
景勝
御館の乱を義のない戦だったとして、そのことが生涯兼続の心のしこりになってゆく。あちこちに兼続の作った漢詩が散りばめられており、物語に深みを増している。
全体を通して嫌味のない内容なので、すっと読めてしまえますが、兼続の生涯を描くには紙面不足な感があり、その点が残念。



  《ゆかりの人々を読む》

  ★上杉景勝・上杉謙信・おせん夫人

書名 著者 登場人物 コメント
われ、謙信なりせば 風野真知雄 景勝
兼続
お船
華渓院 
徳川家康 他
謙信に対する葛藤を抱えつつも謙信になりきろうとする景勝と、謙信のずるさや弱さを自分の中に感じる兼続。主との間に距離を感じながらも補佐役に徹しようとする兼続の生き様にはすさまじささえ感じる。賢夫人のイメージが強いお船夫人であるが、夫兼続に皮肉をぶつけるような、女性としてのかわいらしさを見せる夫人も魅力的である。
上杉景勝 星亮一 景勝
兼続 他
主君景勝を主人公にした小説というのを今までお目にかかったことがなかったので、試みとしては新しいのだが・・・。上杉軍のあまりの弱さに少々がっかり。
「米沢藩は幕末維新まで奥羽の雄藩として、謙信と景勝が築いた上杉の名を守り続けた」---つまるところ、筆者は幕末の米沢藩(あるいは会津に力を貸した奥羽列藩)というところに話をもって行きたかったのであろうか・・・    
上杉謙信
物語と史跡をたずねて
八尋舜右 謙信メイン 謙信の生涯を描く。幼少時代、兄晴景に言われた一言が謙信の心に生涯澱のようにとどまり、それが奮起の一因にもなっている。書名にもあるように、謙信関係の史跡の紹介がふんだんにされており、史跡巡りにも役立つ。
花に背いて 鈴木由紀子 お船夫人メイン
兼続
前田慶次郎
おまつ(芳春院)他
兼続夫人・お船の方を主人公に据えた小説。幼き日、景勝、兼続、お船の三人が出会うところから筆を起こし、兼続の死後、次々に亡くなっていった近しいの人々の菩提を弔う旅に出かけ、景勝の子・定勝が家督を継いだのを見届けるかのようにしてこの世を去ったところまでを描く。所々に「一夢庵風流記」など、既存の小説を髣髴させるような記述が見られるが、お船の目を通して描くという試みは新しい。

なお、この小説に関しては読書会のログがあります。 >>此方
不職庵謙信の影
(『戦国繚乱』所収)
高橋直樹 景勝
兼続(与六)
直江景綱未亡人
三郎景虎
御館の乱を描いた短編(中篇?)。
謙信の養子の一人から越後の国主となる過程での景勝の成長ぶりが見事に描かれている。
与六はどこまでもクールで、対照的に景勝はひどく人間くさい。三郎景虎も、単なる美丈夫なだけの男ではなく、かぶき者の放蕩息子として描かれており、登場人物がとても個性的である。

  

  ★前田慶次

書名 著者 登場人物 コメント
一夢庵風流記 隆慶一郎 前田慶次
兼続など
かぶき者として名高い前田慶次の一代記。権力者に決して媚びず、己の信ずる所に従って生きていく姿が爽快。
コミック『花の慶次』(集英社コミックス 原哲夫画)の原作。
戦国風流武士 前田慶次郎 海音寺潮五郎 前田慶次
本阿弥光悦
名古屋山三郎
石川五右衛門 など
武の面より文の面を前面に押し出した感のある慶次像を描いている。そういう意味では「一夢庵風流記」のようなインパクトには欠けるが、かぶき者としての慶次は健在である。
前田慶次郎異聞 りんと小吉の物語 泊瀬光延 前田慶次
上泉主水
大国実頼 など
慶次の家人小吉と、慶次を付けねらっていたが、ひょんなことから慶次に従うようになったりんを中心に話が展開していく。
上泉主水や、兼続の弟大国実頼等が登場し、彼らの人間像が物語に深みを与えてくれています。もちろん兼続も登場します。


著者の泊瀬さんは、当サイトにしばしばご訪問いただいております。
戦国風流 村上元三 前田慶次 最近復刻版が出版されました。
景勝の登場シーンが印象的でした。


 
  ★本多政重 

書名 著者 登場人物 コメント
生きて候 安部龍太郎 本多政重 兼続の娘婿でもあった本多政重を主人公にした小説。関ヶ原までの話が大部分を占める。槍の名手としての政重が登場。
本多の狐 羽太雄平 本多政重
明石掃部助全登
豪姫
天海、柳生宗矩 他
加賀前田家の重鎮としての政重が登場。家康の秘宝をめぐって伊賀忍軍・柳生新陰流と「本多の狐」が激突!
もと上杉の忍びであった、政重配下の「本多の狐」が大活躍する。



  ★上杉三郎景虎

書名 著者 登場人物 コメント
上杉三郎景虎 近衛龍春 上杉三郎景虎
北条氏直
上杉謙信
武田信玄
景勝、兼続 他
小田原北条氏の家に生まれ、運命の悪戯で武田、上杉と、人質として他家へ行かざるを得なかった三郎景虎の生涯。
三国一の美丈夫とたたえられた景虎が苦悩する姿は美しいが、覇気が感じられない。むしろ、景虎の美しさに嫉妬しながらも奮起する景勝のほうが魅力的である。
流転の若鷹 永井路子 上杉三郎景虎
景勝 他
御館の乱を中心とした短編。同じ景虎であるが、苦悩しつつ、最後まで毅然と生き抜こうとするこちらの景虎の方が私的には好きである。



  ★そのほか上杉家の諸士たち

書名 著者 登場人物 コメント
剣聖の裔 小西敬次郎 上泉主水佐泰綱
兼続他
同小説は、同タイトルの上州の剣士列伝の中の一つ。したがってあくまで上泉泰綱の生涯を綴ったものであり、兼続は泰綱の上司として脇役で登場。長谷堂合戦の折の葛藤が描かれており、興味深い。

和泉守さまに紹介していただきました。
霊薬十二神丹 石川淳 平田助次郎
杉原常陸
兼続
景勝 他
十二神丹という霊薬をめぐる、なんとも不思議な小説である。
策謀家的な兼続が登場。
羊羹合戦 火坂雅志 渡辺庄九郎
上杉景勝
直江兼続
秀吉主催の茶会で出された羊羹以上の羊羹を作って秀吉に献上し、秀吉の鼻を明かしてやりたい・・・。景勝・直江主従の思惑のために召喚されたのは、かつて景勝の勘気を蒙って蟄居の身であった渡辺庄九郎であった。
奮起して羊羹作りに専心する庄九郎であったが、この勝負の行方は・・・。
奇策 風野真知雄 本庄繁長
兼続・景勝
伊達政宗
本庄繁長というと、裏切りの常習者というイメージが強かったが、ただの裏切り者にあらず、という思いを強くしました。

なお、この小説に関しては、読書会のログがあります。  >>此方
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