亀岡文殊堂詩歌百首(5)■
◆軒松      積翠軒松啼子規  牀頭寂々夢醒時
庭前有个万年樹  夜々風聲侵老涯
朝清
◆庭遣水     苔のむす庭の岩まに流ゆく
           水もみとりの色やそふらむ
                      忠廣
◆窓前竹     終日牕前奈寂寥  自栽脩竹楽逍遥
非含西嶺千龝雪  唯慣七賢出晋朝
元貞
◆圍碁      閑邊相対思無邪  終日圍棊夕照斜
          一局聲宜竹樓上  夜来幾度落燈花
                              朝清  
◆行客休橋    むかし見しなからの里はあれぬると
 橋のほとりに休むたひ人
富隆
◆薄暮煙     真柴たくけふりも雲も夕くれの
           かせのまにまになひくそらかな
                        能元
◆野亭風     まはらなる野への庵りはいとゝしく
かせのをとさへはけしかりけり
秀光
◆海路日暮    煙波月白映斜輝  獨數寒鴉南北磯
           唫到芦花江水上  漁翁繋得釣舟帰
                              宗繁           
◆山家      磐石垂蘿避世塵  山中舊宅獨容身
白雲深處行人少  峭壁攢峯蓋四隣
兼続
 
◆蕭寺      紛々世事未曾聞  寺在林間小路分
          門外更無車馬客  晨鐘夕梵出深雲
                              玄劉
◆暁鐘      支枕幽斎夢不成  疎鐘報曉太多情
豊山霜白一聲裏  月落烏啼三五更
兼続
◆観無常     鳥邊野やよそのなかめの夕煙
           あはれといひし人もいつかは
                         隠其
◆閑中燈     吹かせもしつかにくれておく山の
いほりしらるゝともし火のかけ
家能
◆往事如夢    来しかたを思ひ出れは行すゑも
           ゆめのうちなる夢の世の中
                           富隆
◆餞別      折柳橋邊涙幾回  駐鞍終日擧離盃
帰舟早載春宵月  呈我江南一朶梅
宗繁
◆旅行      露宿風冷征袖霑  千莖白髪万莖添
           出門遙望片雲外  又向誰家借半檐
                              玄劉  
◆夜鶴      更る夜の松の嵐に夢さめて
 聞も侘しき老鶴のこゑ
其阿
◆船過江     吹風に入江の小舟漕きえて
           かねのをとのみ夕波の上
                       利貞
◆眺望      うき雲もたちそふ多古のうら浪に
 を舟こきゆくはるのあけほの
長廣
◆端籬視     住よしの松のちとせをいくかへり
           きみかありつるよにかそへまし 
                         実頼





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